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企画展

益子陶芸美術館 開館25周年記念
楽焼とスリップウェア

2019年3月2日(土)-5月6日(月・休)

主催:益子町文化のまちづくり実行委員会、益子陶芸美術館

開催期間 2019年3月2日(土)-5月6日(月・休)
休館日 月曜日(春の陶器市期間は無休)
開館時間 午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)
入館料 大人600円(550円)、小中学生300円(250円) 
*( )内は20名以上の団体 / 65歳以上は300円(要証明)

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スリップウェアとは、クリーム状の粘土である泥漿(でいしょう=スリップ)で装飾的文様を描いて低火度焼成した陶器のことで、古来、ヨーロッパを中心に各地で発達しました。近年の日本では、イギリスに起源を持つスリップウェアが高い人気を見せるとともに、作り手と使い手の双方の間で一つのジャンルとして定着しています。本展では、この現象の源流にある、近代日本におけるスリップウェアの受容と展開を見つめます。

20世紀初頭、のちに民藝運動を創始する哲学者・柳宗悦(1889〜1961)や、陶芸家となる富本憲吉ら(1886〜1963)により、イギリスの伝統的なスリップウェアの近代的な美が発見されました。富本と盟友のバーナード・リーチ(1887〜1979)は、楽焼によりスリップウェアの再現を試みます。その後渡英したリーチと濱田庄司(1894〜1978)によりスリップウェアの製法が明らかになり、濱田を介して京都の陶芸家・河井寛次郎(1890〜1966)にもその存在が伝わりました。スリップウェアは柳の文章を通じて広く日本国内に紹介され、民藝の理念として浸透していきます。一方で、本国イギリスでは生活様式の近代化のなかでスリップウェアが衰退しつつありましたが、マイケル・カーデュー(1901〜1983)はそこに美を見出して復興し、現在では多数の個人作家が多種多様にスリップウェアを制作しています。

本展では、当館新収蔵のリーチ作《楽焼飾皿》(1920)を起点に、楽焼への関心からスリップウェアの製法に到達し、あるべき陶器の姿(理念)としてスリップウェアに魅了された第一世代、彼らに学び創作的表現としてスリップウェアに取り組んだ第二世代の作家たちを紹介します。同時に、イギリスの近代的なスリップウェアにも焦点を当てるとともに、益子の近現代陶芸をスリップウェアという観点から見つめます。当館所蔵作品を中心に、総計約50点を展覧します。

同時開催

<特集展示> 吉田喜彦の世界

栃木県宇都宮市出身の陶芸家・吉田喜彦(1936〜)は、荒川豊藏に師事し、現在まで岐阜県可児市を拠点に活動しています。プリミティブかつ洗練された造形に、粉引、志野、赤絵、黒陶など作域を幅広く展開しています。本特集では、昨年度受贈した作品約20点を初公開し、吉田の陶芸世界を紹介します。